移りゆく季の中で
代表取締役 石川信頼
(2025.06「夏」_vol16掲載)
ゴールデンウィーク後のお休みで、東京へ足を運びました。日頃、伊那谷の穏やかな景色に囲まれている私にとって、大都会・東京はいつも新鮮な刺激を与えてくれます。
まず訪れたのは、渋谷の街を一望できる「SHIBUYA SKY」。地上約230メートルから見下ろす景色は圧巻の一言。そして驚いたのは、周りを見渡すと外国人観光客の方々がたくさんいらっしゃったことです。「これがインバウンドか」と肌で感じながら、実は私、あるミッションを遂行しておりました。背中には「ちいずくっきい」のロゴが輝く特製パーカー。そう、密かに我が社の代表銘菓をアピールしてきたのです。伊那の山々とはまた違う、果てしなく広がる都市の風景に圧倒されつつも、心の中では「うちの美味しいお菓子も都会のお菓子に負けていないぞ」と小さな誇りを胸に抱いていました。
その後、家族で楽しみにしていた「デザインあ展」へ。そこは、日常の中にある「?」や「!」をユニークな視点で切り取った展示の数々で溢れていました。子どもたちは日を輝かせて展示に触れ、大人も思わず「なるほど!」と唸ってしまうようなアイデアの連続。デザイナーの方々は、きっと日々アンテナを張り巡らせ、私たち凡人では思いもつかないような毎度から物事を見つめているのだろうなと感心しきりでした。
東京には東京の、刺激的で洗練された魅力があります。一方で、ここ伊那には、心安らぐ自然と、そこに暮らす人々の温かさという、かけがえのない魅力があります。今回の旅で改めて感じたのは、それぞれの土地にそれぞれの良さがあり、それを大切に育んでいくことの重要性です。
私たち菓子庵石川が目指すのは、「伊那谷を贈る」というコンセプトのもと、この土地ならではの恵みや物語をお届けすること。東京で得た刺激を胸に、これからも伊那の地で、皆様に愛されるお菓子とお店作りに励んでまいります。