2026 SPRING vol.19号 掲載

最近我が家には、ちょっとした変化がありました。妻が「御朱印帳」なるものを手に入れ、にわかに神社巡りブームが到来しました。先日も諏訪大社へ足を運びました。一日で四つの社を巡るというなかなか濃い行程でしたが、神聖な空気に触れ、妻も限定の御神渡り御朱印を授かってホクホク顔。その幸せそうな様子に、私の心までお裾分けをいただいたような、清々しい一日となりました。

実は私、キリスト教の家庭で育ちまして、神社は長らく「近くて遠い異文化」でした。今でも心のどこかにその教えが息づいているのですが、昨年、マンガ版の『古事記』を読んだのが転機となりました。日本の神様たちの、なんとも人間臭くドラマチックな物語に、「ほう、これは面白い!」と知的好奇心がうずいたのです。

思えば、十数年前の伊勢神宮や、昨年の熱海神宮。信神深いわけでもない私が、ふらりと鳥居をくぐっていたのは、理屈を超えた何かに引き寄せられていたのかもしれません。信じる対象が唯一神であれ、八百万の神であれ、あるいは自分自身であれ、「何かを信じる力」は、人生を支える確かな根っこになります。

目に見えない「心」を大切に育むこと。それは、良い作物を育てるために「テロワール(風土)を整える作業に似ている気がします。自分の内なる精神性を、これからも豊かに耕していきたいものです。そしてそれは企業も同じです。菓子庵石川にとってはその見えない「心」が「伊那谷を贈る」というブランドコンセプトであり、その大切さを、澄み渡る空気の中で再確認した一日でした。

妻はいつか「出雲大社」の御朱印を手にできることを楽しみにしています。

距離的に..遠い…