2025 AUTUMN vol.17号 掲載

長かった子どもたちの夏休みもようやく終わり、世のお父さんお母さん、本当にお疲れ様でした。

「せっかくの休み、色々な体験をさせてあげたい」と思うのが親心ですが、当の子どもたちは家が大好き。iPadがあれば、YouTubeもゲームも、アニメも映画も見放題です。便利な世の中になったものだと感心する一方で、キラキラした画面の中だけで大切な時間が過ぎていくのは、少しもったいない気もします。

そんな思いから、今年は天竜川での水生生物調査に参加したり、鹿嶺高原で満点の星空を見上げたりと、なるべく外へ連れ出すことを心がけました。少し足を延ばして、家族で福井県まで旅行にも行きました。伊那谷の豊かな自然や、旅先での新しい発見は、子どもたちへの最高の贈り物になったと信じています。

さて、休みの話といえば、先日フランス人の義弟からフランスでは、2週間以上の長期休暇を取得させることが会社の義務だと言うことを聞きました。勤勉な日本人からすると夢のような話ですが、最近は日本のお菓子屋さんでも、繁忙期の後に1週間ほどの連休を取るお店が増えてきました。菓子庵石川でも、お盆明けに3日間のお休みをいただきました。

実はその休みを利用して福井へ旅行したのですが、お目当てのお店が同じく「繁忙期後の休み」で、がっくり肩を落とす場面も(笑)。しかし、がっかりしたと同時に「それでいいんだよな」と強く思ったのです。

これから日本は、働く人がますます少なくなっていきます。私たちのようなサービス業こそ、スタッフがしっかり休み、心も体も元気に楽しく働ける環境を作らなければ、お客様に喜んでいただける美味しいお菓子は作れません。

菓子庵石川の先代たちがそうしてきたように、その時代に合わせた経営の形を模索していくこと。それが、今の私に与えられた大切な役目だと考えています。そのためにも、お店の定休日について、皆様にご理解いただけますと幸いです。

鹿嶺高原からの伊那谷の夕景